ローマ人の物語【終わりの始まり】

ローマ人の物語もいよいよ終盤。


ローマ帝国の終わりに徐々に近づいてくる。

ローマ人の物語 (29) 終わりの始まり(上) (新潮文庫)

ローマ人の物語 (29) 終わりの始まり(上) (新潮文庫)


第一は、知識と体験の関係についての、彼の考え方。
賢者は歴史に学び愚者は経験に学ぶ、という格言があるそうだ。私の考えでは、賢者の側にいたければこの両方ともが不可欠である。「歴史」、書物と言い換えてもよいが、これを学ぶ利点は、自分ならば一生かかっても不可能な古今東西の多くの人々の思索と経験までも追体験できるところにある。一方、自信の「経験」は、追体験で得た知識と実際にどう活かすか、また活かせないか、を教えてくれる役に立つ。つまり、机の上で学んだことも、実体験とかみ合わせることではじめて活きた知識となるのだ。この様な考えに立つならば、正確な情報さえ得られれば適正な対策を立てられると思い込むのは、知識ないし情報の過信であり、対策を講ずるうえでは危険でさえある。



情報は、自動的に機械的に集まってくるものではない。収集の段階ですでに、人間の介入は避けようがない。
情報を受けそれを活用する段階でもさらに、それを行う人の問題意識が介在せざるえないという性質を持つ。

天才とは、他の多くの人には見えないことまで見ることのできる人ではなく、見えていてもその重要性に気づかない人が多い中で、それに気づく人のことなのである。